閃輝暗点は視覚領域の大脳に由来しており、両目共に同じ光の映像が見えているのが特徴です。
もし片目にのみ光が見えたなら、その片目に何らかの変化が生じたと考えられますが、閃輝暗点のように両目共に同じ光の映像が見える場合は、映像を処理する大脳側の問題であることがわかります。
ただし残念なことに、発作の最中に左右の目をそれぞれ隠して、どちらの目に光が見えているかを確認している方は少なく、多くの方が視野の右半分(あるいは左半分)のほうに見えたから右目(あるいは左目)に見えたと答えます。
閃輝暗点を疑う方には、次の発作時に左右どちらの目に光が見えるかを冷静に確認していただくように指示しています。
閃輝暗点は視覚を司る大脳の一部の神経細胞が興奮し、それに続いて活動抑制が周囲に拡がるという一連の反応が起こり(大脳皮質拡延性抑制)、抑制による二次的な脳の血流障害が起こって、片頭痛が起こります。
従って、発作的な光に引き続いて頭痛が起これば、その光は閃輝暗点である可能性が高いと言えます。
片頭痛は女性に多く、10歳代から20歳代に始まり、妊娠中や40歳を過ぎると頻度は減じて、閉経以後はほとんど起こらないという性質をもちます。
多くは家族歴があります。
片頭痛の10~15%に前兆である閃輝暗点が起こりますが、片頭痛年齢を超えると、閃輝暗点のみで頭痛が起こらないことが多いです。
高齢で片頭痛類似の頭痛が出現した場合は単に片頭痛とせず、脳神経外科に受診することを考えてください。
閃輝暗点が週に何度も頻発する場合でも、頭蓋内病変の可能性も否定できないため、脳神経外科に受診すべきです。
頻発するも頭蓋内に異常がないなら、予防薬としてロメリジン塩酸塩を3ヶ月ほど服用することもあります。