当院では痛みには厳重に対処し、点眼麻酔に加えて前房内麻酔をほぼ全例に行い、必要に応じてテノン嚢下麻酔を行っております。また、痛みを非常に恐れる方、まぶしさで目を強く閉じてしまう方、閉所恐怖症の方に対しては、優れた鎮痛・鎮静効果のある低濃度笑気ガスを鼻から吸入する低濃度笑気ガス麻酔を行いますので、痛みがないうえに恐怖心や力みが軽減できてリラックスできます。事前の問診で低濃度笑気ガス麻酔の使用をお聴きしておりますが、ご希望があればお申し出ください。
手術の方法あるいは手術後の注意点などを家族の方にも理解いただいたほうが、手術を受けられる方にとって安心ですので、できるだけ付き添いの人とご一緒に来院ください。
また、手術しない方の目が見えにくい、あるいは歩行がしっかりしないなどの理由で通院に不安を覚える方には、特に付き添いが必要です。
当院で10分間ほどリラックスした体位にて安静にしていただきます。
その後に、術後の養生に関する説明を5~10分ほど聞いていただきます。
厳重な安静は必要ありません。
当院で作成した手術後の生活様式の制限を守る範囲内であれば、普段どおりで支障ありません。
手術翌日に当院で医師がはずしますので、絶対にご自身で外さないようにしてください。
手術直後からよく見える方がほとんどですが、数日~数週間かけてだんだん見やすくなる方もいるように、個人差があります。
単焦点眼内レンズの場合、屈折度数を軽い近視に設定した場合は、遠方・近方共にある程度見えるようになるので、メガネはいらなくなる方もいらっしゃいます。ただし、より鮮明に見えるようになるには、遠用あるいは近用のメガネが必要です。この場合、手術後には目の屈折度数が変わっているため、手術前に使っていたメガネは使えなくなることが多く、新しいものが必要になります。
メガネの処方は、手術1ヵ月以降の視力が安定した頃に可能となります。
再発はありません。
ただし手術後に数ヶ月~数年して水晶体の袋が濁り(後発白内障)、視力低下が起こることがあります。この場合、レーザーで水晶体の濁った袋に穴を開ける手術をすれば、再び見やすくなります。
このレーザー手術は外来にて数分程度で終わり、痛くありません。
血糖値のコントロールが不良であるか、糖尿病による眼合併症がある場合は、先に治療が必要になることがあります。
また緑内障があっても、点眼などにより眼圧が落ち着いていれば、通常通り手術が可能です。
状態が安定していて、仰向け姿勢が20分間ほど持続できれば、手術は行えます。
血液がサラサラになる薬(ワーファリン・バイアスピリンなど)も内服続行のままで手術が可能です。
【視力回復でうつ状態が改善】
家族の方に付き添われて来院される高齢者のなかには、表情が暗くて元気がなく、伏し目がちで目線を合わせようとしない患者さんがいらっしゃいます。
中等度以上の白内障があっても本人は見えにくいことを自覚していない様子で、視力の改善を望んでいる訴えもありません。第一印象としてはうつ状態であり、同時に認知症の初期段階とも思わせます。
このような患者さんに白内障手術を行って視力が大幅に改善すると、表情が明るくなって、しっかり目線を合わせて会話ができるようになり、動作が機敏になり、以前とは見違えるほど若返る方がいらっしゃいます。
【認知症の初期にも効果あり?】
高齢者のうつ状態の原因が、目の見えないことによる気分の障害である場合には、白内障手術によりうつ状態が劇的に改善されます。また劇的ではないにしても、認知症初期の症例に対し白内障手術を行うと認知機能が改善したとの報告があります。
認知症患者の約40%にうつ状態が認められますで、第一印象ではうつ病なのか認知症なのかわからないのですが、うつ症状を身内に諦められている高齢者には、一度眼科を受診させることをお勧めします。