人の目の構造はカメラに似ており、カメラのレンズに相当するものを水晶体といい、正常なものは透明で光をよく通します。
白内障とはこの水晶体が濁り、見え難くなる病気です。
(1)光がまぶしい
(2)暗いときと明るいときで見え方が違う
(3)ものが何重にも見える
(4)視界がかすんで見える(ぼやける)
最も多い原因は加齢によるもので、個人差はありますが歳とともに誰でも水晶体は濁ってきます。
その他に、糖尿病・アトピー性皮膚炎・外傷・薬物性・先天性などがあります。
白内障の治療として点眼薬があります。ただし、点眼薬は水晶体の濁りを遅らせる作用がありますが、濁りを軽減できません。白内障が進行して日常生活に不便を感じる、あるいは右記のような手術適応となる理由があれば、近年の手術はストレスをほとんど感じないため、積極的に手術をすることをお勧めします。
「手術をできるだけ遅らせたい」と述べられることもあります。手術をしないなら、視力が回復することは望めませんが、手遅れになることはまずありません。ただ、手術をためらっておられた方が思い切ってされると、「もっと早くしたら良かった」と言われることは多いです。
水晶体は薄い膜(前嚢・後嚢)に包まれた組織で、無数の細い糸(チン氏帯)で虹彩の根元に固定されています。白内障手術は、前嚢を円状にくり抜き、2.4mmの小さな切開創から濁った水晶体の内容物を超音波で砕いて吸引除去(超音波乳化吸引術)した後、内容物が無くなった水晶体の袋の内に人工の眼内レンズを挿入します(写真)。
手術では後嚢とチン氏帯を温存することに細心の注意を払いますが、時には水晶体の内容物が非常に硬い、あるいは術中に後嚢が意図に反して破れてしまった場合(破嚢)、水晶体の内容物を破砕しないで摘出します(嚢外摘出術)。
まれにはチン氏帯が弱っていて、手術をすると水晶体が脱臼する場合は(チン氏帯断裂)、前嚢・後嚢ごと水晶体全体を摘出しなければならず(嚢内摘出術)、同日に眼内レンズを入れられないことがあります。この場合、後日に眼内レンズを縫い着けるか強膜内に固定する方法を行います。ただしできない症例もあり、医師とご相談のうえ、最良の方法を検討します。
眼内レンズ
(人工水晶体)