特殊なコンタクトレンズを就寝前に装用すると、朝にレンズを外しても裸眼で見えるのが特徴です。
通常のコンタクトレンズは装用しているときだけ見やすいですが、オルソケラトロジー(以下、オルソ)では特殊なコンタクトレンズを就寝前に装用すると、朝にレンズを外しても裸眼で見えるのが特徴です。
軽い近視の場合、たった一晩装用しただけで外した直後の視力が1.0以上になります。オルソの原理はコンタクトレンズの鋳型で角膜中央の表層を一時的に平坦化させるというものです。
寝癖のようなもので、毎晩装用することで持続時間が少しずつ延長し、装用開始から1〜2週間ほどで起きている間は良好な視力が保てるようになります。
ただしレンズの装用を中止すると、1〜2週間で元の近視の状態に戻ります。また強い近視の場合には効果は限られ、裸眼で生活ができるほど見やすくはなりません。
オルソは子供から大人まで効果がありますが、特に若いほど効果があり強い近視でも矯正できることがあります。
オルソケラトロジーをされて喜ばれるタイプ
などです。
自信を持ってご紹介できる治療法です
オルソが日本に導入された2000年頃は、眼軸の伸長により近視が年々進むような子供に対しても、オルソには近視の進行を遅らせる効果があるという宣伝が多く見られました。 私がこの治療を手探りで始めたのが2001年で、当初はその近視抑制効果に懐疑的でしたが、医師の裁量権のもと300人以上、そのうち自分の子供にも行った感想として、近視進行抑制効果を十分に実感しております。
近年、本邦にて大規模な研究班が小学生にオルソケラトロジーを行ったところ、近視の進行が抑えられ、なるべく軽い近視から、かつ低年齢で開始したほうがより進行しにくいことが判りました。
さらに最近では、オルソケラトロジーの近視進行抑制効果は、オルソケラトロジーに低濃度アトロピン点眼を併用するほうが、オルソケラトロジー単独よりも高くなると報告されています。
オルソ特有の合併症は見られず、通常のハードコンタクトレンズよりやや多い程度でした。2009年からオルソは厚生労働省の承認を受け、7年ぶりに改定された日本コンタクトレンズ学会によるオルソケラトロジーのガイドライン(2017年度)では、これまで未成年者には非適応とされていたのが適応(慎重投与)になりました。
お子様の近視進行にお悩みのご両親にも自信を持ってご紹介できる治療法です。
屈折異常のない眼(正視)では、入ってきた光は角膜と水晶体で屈折し、網膜にピッタリと焦点が合います。
角膜は透明な組織で、屈折力の3分の2を担う重要な働きをしています。
水晶体はその厚みが変わって屈折力を変化させ、遠くあるいは近くに焦点を合わせる働きをしています。
近視では、眼の奥行き(眼軸)が長いあるいは角膜や水晶体の屈折力が強すぎて網膜より前で焦点を結びます。
一方、遠視では、眼軸が短いあるいは屈折力が弱すぎて網膜より後ろで焦点を結びます。
いずれの原因にせよ近視の矯正は光が網膜に届くまでの間で屈折力を減らすしか方法がありません。
通常は「角膜前方」で矯正するメガネ、「角膜上」で矯正するコンタクトレンズ、「角膜そのもの」を矯正するLASIK、あるいは「水晶体」を矯正する有水晶体眼内レンズ(ICL)により近視の治療を行います。
大きくは以下の3種類に分けられます。
メガネあるいはコンタクトレンズなどの凹レンズで一旦平行光線を広げることにより網膜上に焦点を結ばせる方法です。
メガネと同様に通常のコンタクトレンズは内面カーブが一定で、いわゆる「度(凹レンズ効果)」が入っています。
メガネあるいはコンタクトレンズを装用している間は矯正効果がありますが、レンズを外せば元の近視に戻ります。
角膜の屈折力を減らす方法としてLASIK(レーシック)、水晶体の前に眼内レンズを置く有水晶体眼内レンズ(ICL)の二つが現在最も普及しております。
レーシックの手順はカンナのような機械で角膜表面を薄く剥ぎ(フラップ作成)、むき出しになった部位にレーザーを照射してその表層を削り取り、最後にフラップを元の位置に戻します。
レーシックを含めた角膜の手術は、一度行えば効果が永続するというメリットはありますが、近視が進行途中であるかもしれない20歳未満には非適応です。
ICLは強度の近視にも適応があり、2014年に厚生労働省から認可を受けたICLレンズから安全性が高まりましたが、新しい治療のため長期の成績はいまのところ未知数です。