正しいレンズケア
頻度として多いのが、瞼の裏側に筋子のようなブツブツした隆起がある巨大乳頭結膜炎です。
症状
片目のコンタクトレンズが上にずれやすく汚れやすくなり、瞼はやや下がり気味になります。
発症の機序
コンタクトレンズに付着したタンパク質汚れによるアレルギー反応と、コンタクトレンズによる機械的な刺激が考えられ、どちらもコンタクトレンズの装用が原因です。
治療法
コンタクトレンズによる合併症で最も恐ろしいのが角膜感染症で、ケアを必要とするSCLに多いです。
SCLに関連した角膜感染症が起こるしくみ
SCLの長時間装用や装用したまま就寝すると、酸素不足による角膜障害が生じます。SCLが微生物に汚染されている場合、その障害部位より微生物が侵入すると角膜感染症になります。当然、日頃のケアを怠ると起こりやすいです。
MPSによる角膜上皮障害
1日使い捨て以外のレンズに必要なケア用品には、ケア(洗浄、消毒、すすぎ、保存)をを1剤で行うタイプ(MPS)、他に過酸化水素やヨード製剤があります。
MPSはその簡便性により最も普及しておりますが、含有している防腐剤により角膜上皮障害(角膜ステイニング)を起こすことがあります。
その場合は1日使い捨てSCLか過酸化水素やヨード製剤に変更すべきです。
過酸化水素は中和が必須なため、誤って中和をせずにCLを装用すると、激しい眼刺激を伴う角膜障害を起こします。
正しいレンズケアの方法
MPSの消毒効果はMPSを満たしたレンズケースにSCLを浸している間に発揮しますが、眼に直接入っても問題ない濃度なので消毒効果は弱いです。
そのため、洗浄前の「こすり洗い」をしっかり行い、装用直前の「すすぎ」で汚れと微生物を物理的に取り除くことが大切です。
MPS、過酸化水素、ヨード製剤のどれを用いてもこすり洗いとすすぎは行ってください。
レンズケースのお手入れは重要
ただしケアをきちんと行っているにもかかわらず、重篤な角膜感染症を起こして来院される方がいらっしゃいます。
丁寧に問診してみるとレンズケースの清潔管理が疎かになっていることが多いです。レンズケースは消毒が難しいので、コンタクトレンズを装用したらケース内の溶液を捨て、水道水による流水でケースをこすり洗い後、乾燥させます。
ケースのお手入れで微生物の増殖を防ぐことが重要です。
消毒剤を新たに開封したときは古いケースは破棄し、新しいケースに交換してください。
コンタクトレンズは商品ごとに特徴があり、デザイン、素材、サイズがそれぞれ違います。
同じ商品のコンタクトレンズでもカーブが異なれば、表示度数が同じでも実質的な度数は違います。
さらにコンタクトレンズの商品が異なれば、デザイン、素材も異なるため、度数とカーブとサイズが同じでも、目にフィットしていないかもしれません。
レンズ規格とレンズ商品が同じでないかぎり、見え方とフィッティングが同じにはなりません。
つまり、同じ度数だからということで違うメーカーの商品を購入されても、その商品がご本人の目に合っているとは限りません。