出生直後から持続する涙と目ヤニの原因は鼻涙管の鼻腔への開口部が膜様物によって閉鎖されているためであり、これは新生児の2~4%にみられます。
生後6ヶ月〜1年頃までに自然開通することがありますので、その頃まで時々、涙嚢部へのマッサージをしながら経過観察します。
自然に開通せずに鼻涙管が閉鎖された状態が続くと、涙嚢が化膿する涙嚢炎を起こしやすいので、涙点から針金を通して膜様物を穿破する涙道ブジーを行う必要があります。この涙道ブジーは医学的に確立された治療法で、生後6ヶ月〜9ヶ月頃に局所麻酔で行う方法と1歳以降に全身麻酔下で内視鏡を使って行う方法があります。
当院では最近は、安全性と成功率の高さから、1歳以降の内視鏡を使った手術を支持し、涙道の治療を専門とする施設に紹介しております。
涙道ブジー後には一過性に眼瞼が腫れて、目ヤニが増加しますが、眼瞼の腫れは数日、目ヤニは1週間程度で軽快します。ただし、術後に全身感染症の危険性があるため、抗生剤の内服を処方します。術後数日間は発熱や食欲不振に注意してください。
ドライアイの治療において、点眼のみでは不十分で自覚症状も改善されない場合、上下眼瞼目頭の各々にある涙点にゴムの栓(涙点プラグ)をする方法があります。
涙点プラグの挿入により、症状が劇的に改善することも多く、患者満足度も高くなります。重症例では一度に上下ともに涙点プラグを挿入しますが、軽症〜中等度までには下涙点にのみ挿入してしばらく経過観察した後、症状の改善が見られないことを確認してから、上涙点に挿入します。
上下の涙点にプラグを挿入した場合、涙が多くなりすぎて霧視が生じる可能性があります。
霧視で問題が生じても、プラグは簡単に除去できます。またメヤニが溜まりやすくなりますが、防腐剤フリーの人工涙液点眼で洗い流してもらいます。
一番の問題点は自然に脱落することで、数ヶ月で起こることが多いです。
涙点プラグ挿入しているにもかかわらずドライアイが悪化したと自覚すれば、脱落している可能性が高いです。
再び涙点プラグを挿入する場合、涙点径が拡大しているためサイズの大きいプラグが必要になります。