最近の児童は、低年齢からスマートフォンや手持ちタブレットを使って近業に負荷をかける時間が長くなり、それに反し屋外で活動する時間が短くなりました。そのうえ両親のどちらかは近視であることが多いことから、小学低学年から近視になりやすい傾向があります。
近視の発症年齢と近視の程度とは関係が強く、発症年齢が早いほど強度近視になるリスクが高まります。
強度近視は近視がただ強いだけではありません。強度近視になると、中高年以降に視覚障害を生じ、視覚障害1級(失明)の第4番目の原因である病的近視、第1番目の緑内障、あるいは網膜剥離になるリスクが高くなります。
病的近視の主な病気に近視性黄斑症がありますが、近視が強くなくても、1D(ディオプター)でも近視の進行を抑えることができれば、近視性黄斑症になるリスクは37%(緑内障は17%、網膜剥離は23%)も低下すると推定されています。
さらに、小児期に近視の進行を抑える治療をすることで得られる利益(将来、視覚障害となるリスクの回避)は治療を行って重篤な合併症(感染性角膜炎など)から被る不利益と比較しても、はるかに大きいことが試算されました。
このことから、小児期のできるだけ早い時期から近視の進行を抑えることが、将来の目のために非常に大切になります。
「子どもの近視ドック」では、健康保険適応である「視力検査」だけではなく、「眼軸長」を測定し、お子様の近視の現状を把握します。また、「角膜形状解析」と「波面収差解析」から円錐角膜等の不正乱視や見え方の質の評価、「光干渉断層撮影(OCT)」による眼底3次元画像解析で病的近視への進行を予測します。
近視進行の要因には遺伝要因と環境要因があります。オプションになりますが、遺伝要因のリスクが高いか否かを「近視遺伝子検査キット」で調べる方法があります。
※予約制
・月PMおよび火・木・金のAMPMでの予約になります。お電話かご来院でお申し込みください。
【対象年齢】:5才〜18才
【所要時間】:1〜2時間 ・必要に応じ、調節麻痺剤を点眼して屈折検査を行う場合は、時間がかかります。
・調節麻痺剤を点眼すると、眩しくて手元のピントが合わなくなりますのでご注意ください。
器械を使って近視・乱視・遠視などの屈折の程度と、角膜のカーブを測定します。
目の調節が働き、器械測定では誤差が大きいと判断すれば、調節麻痺剤を点眼してからの屈折検査および視力検査となります。
「眼軸長」を測定し、「Axial Manager™」で文部科学省による児童生徒の近視実態調査のデータと比較することで、7歳以上であれば、お子様の眼軸長が他の児童100人と比べてどれほどの順位かを把握できます。
角膜の形状を山の等高線のように図示化することで、強度近視や乱視の原因となる病気「円錐角膜」を調べます。また、視力検査や屈折測定では評価できない収差を、角膜あるいは眼球全体で測定し、視力不良の原因が隠れていないか追求します。
病的近視は、小児期から視神経乳頭周囲にびまん性萎縮病変の形成が認められることが多いです。
LEDレーザー光源の超広角眼底カメラで撮影し、得られた鮮明な画像から病的近視を予測します。
病的近視は、小児期から視神経乳頭周囲にびまん性萎縮病変の形成が認められることが多いです。LEDレーザー光源の超広角眼底カメラで撮影し、得られた鮮明な画像から病的近視を予測します。
当院にて「近視遺伝子検査キット」をお渡ししますので、綿棒で口腔粘膜をこすって検体を採取し、指定の施設に郵送してください。
約4週間後に判定報告書が直接ご自宅に届きます。