目の病気と治療
黄斑前膜
FUJIMOTO OPHTHALMOLOGY
患者さんの眼底を観察していると、視力に最も関係する重要な部位である黄斑の表面に、膜が張っているのを見つけることがあります。
これは黄斑前膜(図1)(図2)と呼ばれ、40歳以上の20人に1人がなり、若年者にでも時々あります。
黄斑前膜の症状として、ゆがみ(歪視:わいし)、大きく見える(大視症)、かすんで見える(霞視:むし)などがあります。
黄斑前膜は急に収縮することがあり、収縮すれば黄斑は厚くなって表面にしわが生じます。こうなると、視力が低下し、歪視などの症状が増悪します。
視力が1.0以上と良好で、本人の自覚症状が少なければ、前膜を取り除く手術をせずに経過観察となります。
また、若年者では前膜が自然に剥がれることもときにあります。
視力が低下する、あるいは視力が良くても歪視が強い場合は、手術の適応となります(図3)(図4)。
手術をしても、術後視力や自覚症状が改善するまでに長期間を要することがあり、特に歪視が強い場合は、術後に視力が良くなっても歪視が治らないと訴えることは多いです。
また前膜を長期間放置した場合は、たとえきれいに膜が取れても物を見る細胞が死んでいるので、視力の回復や歪視の軽減はそれほど望めません。